2021年に読んだ本で、特に印象に残った10冊を。
今年の軸になったテーマは、
・江戸時代(『竜馬がゆく』/儒教)
・戦略(『孫子』/『五輪書』/野球)
・横浜
・火山、温泉
2020年に読んだ本の中で、特に印象に残った10冊を、と思ったものの絞り切れなかったので12冊。
読んだテーマの大まかなまとまりは、
・睡眠とは記憶とは
・心理学
・歴史(坂の上の雲->日露戦争->幕末明治)
・哲学社会学(ミル、プラトン、ニーチェ)
・沖縄論
『坂の上の雲』や『竜馬がゆく』は社会人必読だとほうぼうに書かれていたので、司馬デビュー。あくまで”歴史小説”なので歴史の勉強という意味では不足があるものの、戦略とはなんぞ、であるとか、モノの考え方とは、だとかを学べたので非常に有益でした。
機会コストの考え方が、今の自分に沁み入るものがありました。歳を取れば取るだけ時間あたりの生産高が高くなるので、自分を強化するならば若い今であり、稼ぐことよりも将来稼げる土台を作ることにこそ注力すべし、と。
睡眠の本は何冊か読みましたが、推量ばかりの言説だったりエビデンスがさっぱりなって無いものが多い中で、有益であり、地に足のついた情報が満載でした。血肉化してしまっていて記憶としては内容ほとんど覚えてないですが、ともかくも睡眠の効能がどれだけ大きいか、ということをエビデンスベースで理解できます。
記憶がいい人ってのは頭の中どうなっているんだろうか、と気になり記憶に関する本も何冊か。タイトルがやや胡散臭いですが、読み進めやすく、実践に富んでおり、それでいて他書にもカバーされている記憶術の原則がしっかり網羅されている。記憶術の要点は、繰り返すこと、結びつけること、描写すること、の3点。
読みすすめるのが本当に苦痛だった1冊。読み始めるとはあーーーっと唸ってしまうような箇所がわんさか出てくるものの、文体が難解でなかなか手が伸びない、という難書。
あまりにも『坂の上の雲』で乃木がぼろくそに叩かれていたので、関係書籍を数冊。明治大正期に英雄視された乃木像と、『坂の上の雲』以降汚された乃木像のギャップを埋める意味でとても有益でした。吉田松陰的思想や、四書五経に触れるきっかけにも。
鹿児島の書店で購入した一冊。道徳論もそうですが、政治とはなんぞや、の話であるとか、幅広く幕末の豪傑西郷の考え方を学べたのはとてもためになりました。本人が残した漢詩が含まれていたのも素晴らしき哉。大隈の自叙伝を読んだらば「かような有為な人物ではない」との記述がありやや辟易しておりますが、それはそれでよし…
山鹿素行の考えに、吉田松陰が講釈を加えた代表的な著作。乃木の倹約主義的質素な生活を裏付け強化する記述が沢山あり大満足。”夙起夜寐”は座右の銘の一つにしたい。
人の心理というものについては、たっぷり十分に網羅されているのでは、という感じ。実践に落とし込むには情報量が多すぎるけれど、たまに読み返して血肉化して行けばよさそうだな、という感じでした。下手に裾野を広げるよりもこの一冊を読み潰したほうが良さそうな、心理学の基本のキになり得る一冊。
「アート作品というのはなにを見ればいいのか」ということを教えられることなく世界中の美術館を見て回っていたので、そろそろ、通説的な軸足というものを手にしてもいいのでは、という思いで手を伸ばした一冊。岡本太郎の著作や同類のアート入門本にも手を出しましたが、自分の求めていたものに対する回答という意味ではこの一冊がベスト。結論は「どう見たって自由」ですが、「じゃあ例えばどういう見方があるの?」を知ることができたのは自分にとって非常に大きなことでした。
大学入試現代文の題材になっているのを見かけて、いつか読みたいとメモに残していた一冊。アートとは、芸術とは、というところをテーマに本を漁っていたのでその網にこの度引っかかる形になったわけですが、感性とはなんなのか、いかに磨かれるのか、現代の”評価”とは何なのか、等々。視点が斬新で面白く、いま目を通してよかったと思えた一冊です。
もともと沖縄問題には関心があり書籍も幾ばくか読んでいたものの、2か月近くにわたる訪沖の機会があったので、さらに10冊近く読み増しました。その中でも、沖縄の歴史について比較的にフラットな立場で、沖縄の人間でありながら客観的立ち位置から述べている当書籍は感銘に値するものがありました。思想や社会政治的な記述はありませんが、読んでみて「おっ」と一番思わされたのはこの一冊でした。世の中高生は、もれなくこの本を読んで沖縄に対する理解を深めるべき。