RISING SUN2014で一度見たことがあるだけと言えど、ピエール瀧逮捕の一報はとても悲しく残念なものでした。
危険薬物に関しては留学中に考えを巡らせる機会が幾らかあったもののそれっきりだったんですが、今回は少し、ぼーっと「薬物」というものについて考えてみました。
思い付いたことは、
①そもそもなぜ”危険”なものが「ドラッグ(薬)」と呼ばれ、日本語においても「薬」の漢字が当てられているのか
②日本人は(教育の賜物でしょうが)なぜ薬物に対してここまでに拒絶的反応を見せるのか
③薬物が芸能芸術に与える(た)影響を見逃すことは出来ないのではないか
という3点です。
毎日更新しよう!という軽い気持ちでやってるブログですからそんなに深堀りする気もないわけですが、それぞれについてさらっと触れます。
なぜ危険薬物は「薬」なのか
ここで薬の漢字に「」を用いるのは、”危険物”に「薬」の漢字があてられていることに違和感を覚えるためです。
英語でも「ドラッグ」と呼ばれているわけですから、その起源が外国語にあることは明らか。
「drug etymology」やら「drug wordetymology」と調べてみましたが、前者で出てきたのはdrugという語の「医薬品」という意味での語源。
drug | Origin and meaning of drug by Online Etymology Dictionary
後者で調べて出てきたサイトの記述にはdrugの「危険薬物」としての用法についても言及がありましたが、決定的な起源は見つけられず。
drug – Wiktionary
ただし引用として用いられていた最も古い用法が1971年のものだったので、危険薬物が「drug」と呼称されるようになったのが比較的最近なのではないかと推察することは出来ます。
調べる人が本格的に調べれば分かることなんでしょうが、これ以上気合いを入れて探す気は起きず。。
日本人の薬物拒絶症について
なぜ日本人は薬物をこれほどまでに拒絶するのでしょうか。
答えは明白で、小学校の保健の授業を皮切りに「危険薬物はダメ、ゼッタイ!」という教育をひたすらに受け続けるからでしょう。
ただそれにしても、大麻を含めた危険薬物全般を頭ごなしに「ダメ!!」と無思慮に糾弾しているだけの日本人があまりにも多いように個人的には感じます。
僕自身は一度もいわゆる薬物に手を出したことが無いですが、その存在に触れることはドイツ留学中に何度かありました。
例えばキャンパス内でふわーっとマリファナの臭い(「これがマリファナの臭いだよ」と教えてもらいました)を感じたり、友人(日本人)の語学パートナー(ドイツ人)が勉強に集中したいときに摂取している(もちろん違法ではありますが)という話を聞いたり、オランダ・アムステルダムでは違法でない形でマリファナの販売が行われていたり…
もちろん大麻を含め危険薬物を称揚する気はさらさら無いですが、あまりにも頭ごなしな「ダメ!ゼッタイ!」な教育を受けすぎているせいで、大麻の医療的な側面に注目するだとか、そういった考え方の柔軟性や議論の土台というものが失われてしまっているような気がします。
例えば、日本の自殺者数(2016年)は2万1897人(2017/5/30 日経新聞)。
依存症や異常行動の誘発等など社会的影響が大きいことを考えれば死者数のみで比較するのはナンセンスですが、マリファナが合法のオランダにおけるマリファナ過剰摂取による年間死亡者数(2016年)は235人です。オランダの人口が1700万人ほどなことを勘案しても、日本国内の自殺者数に比べれば微々たるものです。
(NLTIMES 2018/1/26 https://nltimes.nl/2018/01/26/drug-overdose-deaths-rise-netherlands-third-linked-opiates)
大麻は薬物の中でも比較的依存性が低いことで知られていますから、「医師の管理のもとで精神疾患治療に役立てることが出来たらば自殺者数の減少に貢献するのでは…」などと考えたりもしますが、例えその実用性が認められたとて、今の日本社会では到底許容され得ないでしょう。
危険薬物が芸術に与えた影響
薬物に手を染めたミュージシャンとして思い浮かぶのはやはりThe Beatles。
リンクはローリングストーン誌日本版。
ビートルズの薬物事情:LSDが作ったアルバム『リボルバー』 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
この動画でレノンは否定していますが、『Lucy In The Sky With Diamonds』はLSDの歌だ、なんて言う噂も流布しています。
上述のような内容に信憑性を感じないという方も居るかと思いますが、ポールマッカートニーが大麻所持で日本国内にて拘束された過去は疑いようのない事実です。
ぼくはThe Beatlesのアルバムで『Revolver』が一番の好みですが、ローリングストーン誌によれば、それは「LSD(薬物)が作ったアルバム」。
危険薬物が我々の手の届く芸術作品に影響を与えていることに目をつむり「薬物、ダメ!ゼッタイ!」の大合唱に旗を振る人々の姿勢には、どこか違和感を覚えずにはいられません。