「温泉のすゝめ」カテゴリーアーカイブ

トルコ風呂入湯記inイスタンブール|温泉のすゝめ27

イスタンブールに観光旅行で行ってきたんですが、観光中に街中でこんな看板を見かけました。

「伝統的なトルコ風呂」。なるほど、トルコ風呂ってイスタンブールにあるのか、と当たり前のことにようやく気づき、どこに行くか検索。
行ったのは一軒だけですが、他のスパと比較しても価格とクオリティーのバランスは良かったと思うので、比較過程から書きますので参考にしていただければと思います。
2018/9/21

そもそもトルコ風呂とは

日本では、「トルコ風呂」といえば在りし日のソ◯プの俗称。Wikipediaにもこんなワンクッションが。

ただトルコ風呂(ハマーム)は伝統的な入浴施設であり、現地のハマームに性的な要素は全くありません。
何がどう伝統的かと言えば、ハマームは元々オスマン帝国時代にローマの入浴文化を吸収して確立されたものとのこと(世界史に疎いのでいまいちピンとは来ませんが、wikipedia)。
施設の概要についてはこの後の入湯記の方に詳しく書きますので、そちらをご覧ください。

イスタンブールのトルコ風呂を比較

イスタンブール市街に沢山存在しているトルコ風呂(ハマーム/Hamami)。
今回は”Cemberlitas Hamami”というハマームに行ってきたんですが、このハマームに行くことに決めた過程をご紹介。

“Hamami”とGoogle Map調べると、こんなに沢山のハマームが。

Google Mapで付いているユーザー評価はある程度信用できるので、★の数と評価数をチェック。
もちろん目に付いたのは下画像のような、レビュー数500近く★4.5以上のハマームですが、サイトを見てみると、どちらも最低料金€80(約1万円)+予約必須といった体裁。


もちろんサービスはそれだけ宜しいんでしょうが、そこまでのお金を払う余裕は無いし予約するのも面倒、という事で妥協。

★は4.0を切っているもののレビュー数が500を超えている”Cemberlitas Hamami”は予約も不要で値段もそこそこ、立地も良かったのでここに決めました。

トルコ風呂入湯記

実際に入浴した”Cemberlitas Hamami”での入湯記を。(「入浴記」ってしっくりこないので「入湯記」とします)

訪問したのは13:00少し前、2018年9月23日の日曜日。宿から歩いて10分ほどだったので徒歩にて到着。

中に入ると簡単な注意書きが。
質問だけして帰る人も多いんでしょう。簡単なQ&A。

重要そうな情報は、①入浴に使う物は一切必要ないよ②予約は要らないよ③夕方は混雑するよ ぐらいでしょうか。

中に入るとすぐ左手に受付が。英語はあまり堪能でなさそうなおば様3人組がおり、少し待たされる。
その間にメニューに目を。基本は3メニュー。

一番上(€20(ユーロでの支払いも可能))は一切サービス無し。勝手に体を洗い、勝手にサウナに入り、勝手に部屋で休憩し、帰るだけ。

上から二つ目(€32)が受付のお姉さん曰く「クラシック」なもの。サウナ入浴・部屋での休憩は好きなだけ出来て、それにアカスリと泡洗体(この語感がどうしても風俗を連想させ…)がプラス。もちろん男性は男性、女性は女性が対応。
女性の洗体師(?)は人手不足気味なのか、開店時間も男女で少し異なっていました。

上から三つ目(€51)は二つ目のものにプラスで30分のオイルマッサージ。アカスリもあるしマッサージは別に良いかなぁ、とこちらは注文せず。

追加オプションもありました。

結局上から二つ目の「クラシック」を240TLで注文。当時レートで4500円ぐらいでしょうか。

注文したコースの券(プラスチックの板)とアカスリ用手袋を受け取ると、右奥にある階段を上るように言われます。
お姉さんが英語で詳しく流れを説明してくれましたが、階段さえ上がればあとは上の階にいるおじさんがどうにかしてくれます。

施設の入口から見て右奥にある階段を上り2階へ(女性は受付から真っ直ぐ後ろに歩いて行っていました。男性は裸にタオルで公共スペースをうろつかねばですが、女性のプライバシーはしっかり守られていたように思います。女性エリアにはもちろん入っていないので詳しくは分かりませんが)。

2階へと上がるとおじさん(英語出来ない)に導かれるままに個室に入れられ、「荷物を置き、着替えて(タオルを巻いて)、下に行け」との指示を受けます。

2階はこんな感じ。

個室はとても簡素。


ガラス窓で外から丸見えですが、鍵もしっかり掛かるので貴重品を取られる心配はまず無いかと(外から見えはするので、財布を放っぽり出したりして置くのはさすがに宜しくないかとは思いますが)。

スーツケースも余裕で置けるサイズの部屋なので、帰国前の空いた時間に行くのも選択としては有りだなと思いました。

服を全て脱ぎタオルを巻いて、券とアカスリ手袋を持って部屋の外へ。

部屋を出るとおじさんが近付いてきて、「鍵は閉めたか?」と確認され、上ってきたのとは別の階段を指差されそちらから1階へ。

1階に降りるや否や番号タグを付けたおじさん(英語出来ない)が近付いて来て、注文したコースの確認。

先導されるがままに扉の中へ。(扉の写真は帰る前に撮らせてもらいました)

初めはそこまで熱くないカラッとしたスペース。
おじさんに「この奥に入って適当に過ごしといて」的な指示を受け、更に奥の浴場(サウナ)へ。

浴場の中に入ると、まるでタイムスリップしたような感覚。
温められた大理石づくりのような円形台があり、その縁に寝転がりアカスリやら洗体やらを受ける白人に黒人にアジア人。
見上げれば光の差し込むドーム状の天井。(写真は公式サイトから借用)

見よう見まねで寝転がりましたが、寝転がる台もほの熱いうえに室内も暑い(温度計は85℃でした)。

このままでは死ぬ、と思い一旦外に出ておじさんに水を貰えるか尋ねる。
500mlのペットボトルを購入でき、料金(1.5TL)は後で払ってね、と。

ペットボトルを持ち込んでサウナに再び寝転がること5分ほど。
入り口で声を掛けられたおじさんがやって来て、頭置き(小さな金だらいをひっくり返したような)を指差し「ここに寝る、はい!」といった感じで指示をされる。

寝転がりアカスリ手袋を渡すとアカスリ開始。
初めは仰向け次はうつ伏せ。

強い痛みを感じるような事はなく、気持ち良い。

台の縁に座らされ腕もアカスリ。片腕が終わると逆の手を使って落ちた垢を触らせ、「ほら、めっちゃ垢落ちてるだろ」とでも言いたげなドヤ顔のおじさん。

続いて泡洗体。
寝転がされていると、どこから現れたか分からないボウルの中に大量の泡が。
それを全身に塗りたくられ、「洗われている」というよりは、指を滑らせつつ指圧マッサージを受けてる感じ。
うめき声が出てしまうような痛さで、これも仰向けとうつ伏せを。

終了後に、台に寝転がっていたおじさん(白人)と目が合い、「痛そうだったねぇ」というような目くばせをされる。

そして休む間も無く外へ。
ただでさえ熱いサウナの中に長時間滞在し、その上にめちゃくちゃ痛いマッサージ(洗体)を受けたのでかなり高めの血圧と脈拍数。

外に出るとお湯の出る蛇口の横に座らされ、寝転がっては出来なかった洗顔と洗髪。アカスリ手袋を付けたまま、結構ゴシゴシやられます。

それが終わると、アカスリ&洗体の全工程が終了。

「好きなだけサウナに入って、シャワーを浴びて、タオルを替えて出てきてね。
あと、チップもよろしく(親指と人差し・中指をこすり合せる)」とボディーランゲージで伝えられ、おじさんは外へ。

僕はサウナに戻りましたが、血圧と脈拍数がとにかく異常なので5分もせずに洗顔洗髪を受けた涼しめのスペースに戻って一旦休憩。
それでも落ち着かず、サウナで再びのんびりする事は叶わずにシャワーを浴びて外へ。

朦朧とする意識の中階段を上り休憩室へ。
ベッドに倒れこむも、一向に落ち着かない呼吸と脈拍。

15分ほどしてようやく眠りに落ち、iPhoneでアラームを掛けていたので約30分後に起床。

少し休み一階へと下りると、おじさんにジュースを勧められました。
まあ水飲んだし要らないかな〜と思い断りましたが、それほど値段もしなかったので結局注文。


生搾りの100%ジュース。

風呂上がりの飲み物って何を飲んでも美味しいですが、これほど美味しく感じたのは初めての気がします。

ぼーっとジュースを飲みつつ10分ほど休憩し、外へと出ました。

これにて入湯記終了。

おわりに

なかなか日本では出来なそうな体験で、とても楽しかったです。
かなり体力を消耗した上に若干の辛さもありましたが、せっかくトルコを訪れたならば体験するべきアクティビティの一つだなと感じました。

サウナの入口に「心臓病保持者や高血圧の方はご遠慮を」というような注意書きがあったので、個人差はあるかと思いますが、僕の経験上健常な方でも入浴後に休憩する時間に余裕を見て訪問すると良いかなとは思います。

では、最後までご覧頂きありがとうございました。
イスタンブールでのハマーム探しの一助になれば幸いです。

甲府盆地を望むモール泉日帰り施設|みたまの湯「みたまの湯」|山梨県|温泉のすゝめ26

No.26 2018年8月13日 評価★★★★☆4.5/5.0
【温泉名】みたまの湯 「みたまの湯」(山梨県西八代郡)

今回は男3人で山梨県南部にある「みたまの湯」へ。
みたまの湯

今回は日帰りで「静岡でさわやかに行く」「静岡でメロンパフェを食べる」「温泉に入る」の3つのテーマがあり、温泉を物色していたところ『温泉批評』に掲載された当施設を発見。静岡から北上したところにあるのでアクセスもよく、東京への帰りも中央道が近く楽そうだったのが決定打でした。

単純泉とはいえ肌当たりの良い有色のモール泉。露天風呂からの眺めもよく、夕食の信州名物ものんびり堪能でき大満足でした。

みたまの湯は甲州に多い「モール泉」

今回訪れたみたまの湯はモール泉。モール泉は簡単に言えば地中深くで植物由来の成分が湯に溶け出した温泉。

ただその植物由来の成分は温泉法で有効成分(?)に認定されていないので、温泉分類上は「単純泉」の括りになります。
そのためみたまの湯の温泉は「アルカリ性単純温泉」。

館内撮影禁止となっていたので成分表も撮影しなかったんですが、公式サイトに掲載されてました。
天然温泉 | 山梨の日帰り温泉 みたまの湯 天然温泉の絶景露天風呂で人気

色はどの浴槽も褐色で、高温槽の方が色が濃厚。温度を下げるのに加水はしていないようでしたが、温度の低い浴槽のほうが色は薄かったです。

入ってみた感触としては、肌で直接感じるものは特になし。ただ、湯当たりは若干柔らかかったような気がします。

豪雨のあとだったからかも知れませんが露天の2つの浴槽はどちらもぬるめで、1時間近く浸かっていられました。
 

みたまの湯の設備と雰囲気

施設に関しては公式サイトに詳しく説明されていますが、浴場は男女別で2ヶ所。それぞれ屋内に2浴槽、屋外に2浴槽、ドライサウナが一つ。飲用水も用意されてます。

と、日帰り温泉施設としては極めて標準的な設備。ただ、サウナがあったり浴槽の温度が選べたりするので、長居するにも飽きないなとは感じました。

施設の雰囲気は、お盆のど真ん中だったのもあるかも知れませんが地元の家族連れが多く、どこか温かみを感じました。同じく山梨県にある「ほったらかし温泉」は大学生やカップルが多いので、もちろん立地も異なりますが、上手く棲み分けがされているのかなという気もしました。

ちびっこが多くて落ち着かないと言えば落ち着かないかも知れませんが、家族連れ(おじいちゃんおばあちゃん層も)が多かったのでほったらかしよりも居心地は良かったです(個人の好みだとは思いますが)。

 

お食事処

館内にある「みはらし亭」では、地元山梨の郷土料理も食べることが出来ます。

今回頂いたのは、「おざら」と「もつ煮」。
おざらは「冷たいほうとう」との説明がありましたが、ほうとうをつけ麺スタイルで食べるもの。ほうとうには根菜がごろごろ入ってますが、おざらのつけダレにはそれほど入っていなかった印象。
みたまの湯のおざら

もう一つはもつ煮。もつと言えば胃袋のイメージが強いんですが、出てきたのは鶏肝の煮込み。「もつ」って臓物(ぞうもつ)のことですから何も間違ったことは無いんですが、少しびっくり。美味しかったです。
みたまの湯のもつ煮
 

総合評価

【泉質】
★★★★★ 5.0/5.0
完全な掛け流しでは無いですが、上質なモール泉
【温泉設備】
★★★★☆ 4.0/5.0
設備は標準的でしたが露天からの見晴らしが◎
【施設の雰囲気】
★★★★☆ 4.0/5.0
地元の方が多く、温かみのある印象
【総合評価】
★★★★☆ 4..5/5.0
 

【番外】静岡旅行の帰りにどうぞ

いつも乃木坂に関係した遠征を共にしている友人と、今回は先輩も加えて2度めの東京→静岡→山梨→東京のトライ。

静岡は富士宮市のあたりから北へと伸びている国道139号線は、山中を走っている割には険しさもなく快適です。
途中朝霧高原には牧場や美味しい食べ飲み物が買える道の駅もあるので、ドライブするにはとてもおすすめな道。
国道139号

今回はなかじま園の「夢のメロンパフェ」が目的だったので、まずは東京から静岡市内へ。
その後139号線で山梨へと入りました。
夢のメロンパフェ

静岡山梨共に食べ物も温泉も充実した県ですが、海沿い県と内陸県をを行き来するのもそれぞれに趣があってとても面白いです。ぜひ。

最後までお読み頂きありがとうございました。

長野の山奥に佇む白濁の秘湯|七味温泉「渓山亭 恵の湯」|長野県|温泉のすゝめ25

No.25 2018年7月30日 評価★★★★☆4.0/5.0
【温泉名】七味温泉 「渓山亭 恵の湯」(長野県上高井郡)
1泊2日で長野県の山田温泉に行ってきたんですが、その更に山奥、七味温泉にあります「渓山亭 恵の湯」にも足を伸ばしてきました。
恵の湯の建物

七味温泉の泉質

山田温泉、五色温泉、七味温泉など8つの温泉が集まっている信州高山温泉郷ですが、その中でも七味温泉は硫黄系の泉質が特徴。山田温泉は塩化物泉だったのでそれに比べると、見た目も匂いも肌感も、どれをとっても異なる性質です。入ったのは一箇所だけなので七味温泉全般に一般化は出来ませんが、「渓山亭 恵の湯」はかなり濃く白濁していて、湯船の底が見えるか見えないかぐらいの濃度。硫酸系の泉質ということでもちろん硫黄臭はしますが、ツーンとする一般的な硫黄臭よりもマイルドさがあったような気がします。泉温は普段は高めのようですが、訪問した日は台風の影響で泉温も下がっており、40℃~42℃ぐらいだったように思います。
以前入湯した白骨温泉(自然に囲まれた白濁の混浴露天湯でちょっぴり長風呂を|長野県|白骨温泉|温泉のすゝめ8)と雰囲気は似た泉質でしたが、体に残る硫黄臭はこちらの方が薄めでした。
白濁の湯
 

恵の湯の設備と雰囲気

恵の湯に着いた時の感想は、ずいぶん質素な施設だな、と。広い駐車場と、その脇に建物がぽつりと。
恵の湯の建物
この建物の右手に受付があって、入浴料を支払います。おじさんから施設設備と温泉の成分について説明を受け、お風呂へ。
お風呂は受付から20秒ほど歩いたところに。
恵の湯の入り口
これを入ると脱衣所。コインロッカーは先の建物の方にあるので、預ける場合はそちらに。
脱衣所の窓ガラスの内側にスズメバチがいて内心穏やかでは無かったですが、サクッと着替えて浴場へ。

内湯と露天があります。内湯はこじんまり。
恵の湯の内湯
露天は見ての通りかなり広め。夏場はたくさん虫が居るので、苦手な方はかなり覚悟が必要かと。
恵の湯の浴槽
台風の影響とのことでしたが水温はぬるめだったので、のんびり30分ほど入浴しました。月曜の午前中というタイミングもあり、他の利用者は一人も居らず。休憩所でカラオケをしているおじさまおばさま集団は居ましたが、お風呂へは来ませんでした。
入浴中
 

恵の湯へのアクセス

七味温泉へは、小布施から車で40分ほど。恵みの湯を所有している旅館『渓山亭』は七味温泉の旅館街にありますが、恵の湯はそこから車で1分のところに。

駐車場も恵の湯にあるので、日帰り温泉のみの利用であれば、渓山亭の本館に行く必要はありません。

周辺には滝や牧場といった観光地もあるので、東京からだと少し遠いですが、日帰り旅行にはもってこいの温泉です。
雷滝の裏側
雷滝の滝壺
山田牧場の牛の放牧の様子
 

総合評価

【泉質】
★★★★★ 5.0/5.0
硫黄系源泉の掛け流し
【温泉設備】
★★★☆☆ 3.0/5.0
内湯、外湯、洗い場、と標準的
【施設の雰囲気】
★★★★☆ 4.0/5.0
広々していて、混雑していてものんびりできそうな雰囲気
【総合評価】
★★★★☆ 4.0/5.0
 

自然あふれる小さな温泉郷|山田温泉『風景館』|長野県|温泉のすゝめ24

No.24 2018年7月29日 評価★★★★☆4.5/5.0
【温泉名】山田温泉(長野県上高井郡)
長野県の山奥にある、山田温泉に行ってきました。1泊2日の宿泊で、宿泊先は創業240年を誇る旅館『風景館』に。宿が7軒だけしかない小さな温泉街でしたが、旅館のお風呂ももちろん、外湯も温泉好きにも満足できる素晴らしい施設でした。
山田温泉全般について、大湯について、外湯「滝の湯」について、宿の温泉設備について、と書こうと思います。

開湯200年以上の歴史ある「山田温泉」

温泉にも新旧さまざまあります。道後、有馬、玉造のような、古事記や日本書紀に記されているいわゆる古湯がある一方で、数年前に掘り当てられたような新しい温泉(街)も多く存在します。
そんな中で山田温泉は、1700年代終わり頃に現在の場所に整備されたとされる200年以上の歴史を持つ温泉地。今回宿泊した『風景館』も創業は1769年、現在の館主は7代目とのことでした。江戸時代後期に整備された山田温泉は多くの文人墨客も足を運んだ温泉地。森鴎外、与謝野鉄幹、与謝野晶子、菊池寛、会津八一なども訪れたといい、『風景館』には美空ひばりも宿泊したそうです。

現在の山田温泉と温泉街の雰囲気

そんな山田温泉ですが、それほど規模の大きな温泉地ではありません。200mほどの一本道の左右に、旅館と土産屋がぽつりぽつりとあるだけなので、徒歩で端から端まで散策可能。他には薬師堂と外湯が2軒。
山田温泉のメイン通り
温泉街の中心にある大湯の前には広場と足湯が。
大湯の前の広場
その向かいには観光センターのような建物もあったりと、小さな温泉街ではありますが、「寂れている」というよりは「コンパクトに充実している」という印象の方が強かったです。

山田温泉の中心「大湯」

温泉街の中心的存在の「大湯」。観光客も利用できる形のいわゆる共同浴場で、入湯料は300円。
山田温泉大湯の外観
脱衣所は広めで、100円の鍵ロッカーもありました。スマホ禁止の張り紙があったので、写真は外だけです。
大湯の暖簾
スマホ使用禁止の貼り紙
浴場は共同浴場にしてはかなり広めで、10人は入れそうなあつ湯(43℃)と3人ほど入れそうなぬる湯(40℃)が。
洗い場はあるもののシャワーはなく、他では見たことがない独特な形式でした。浴場の一番奥に温泉を貯めた場所があるんですが、そこから水路が3つ伸びています。そこには水をせき止める木の板がはまっていて、それを傾けると流れてくる温泉のお湯を、桶で受け止める。シャワーのない大昔はこういう洗い場が一般的だったのかも知れません。それを見て実際に体験できただけでも貴重な経験でした。
泉質は山田温泉内はどこも一緒で塩化物泉。肌に直接感じるものは大きくありませんが、保温効果は抜群です。温度は調整されているようでしたが、湯質も良く保たれているなと感じました。

知る人ぞ知る共同浴場「滝の湯」

宿にあった案内に「知る人ぞ知る」と案内されていた滝の湯。日帰り利用は出来ず、各旅館の受付で鍵を借りる必要があります。
滝の湯の入り口の鍵
入浴料は無料。大湯から徒歩30秒の場所にあります。
古びた小さな建物。
山田温泉「滝の湯」の外観
鍵を開けて入るとすぐに浴槽と脱衣所があります。
滝の湯の浴場
驚きだったのは、ガラス張りになっていてメイン通りから中が丸見えなこと。女子風呂はさすがにそんな事無いんでしょうが、これほどオープンな温泉は初めてでした。

そしてお湯の方はというと、衝撃の熱さ。掛け流しなことが良く分かる熱さで、50℃以上はあったと思います。水の出る蛇口は2つありましたが、それでもかなり時間が掛かりそうだったので、脚を2,3回入れただけで退散しました。
滝の湯の浴槽
滝の湯の内部の全景
宿の方に聞いたところ、滝の湯のお湯は朝が一番熱いとのこと。夜になれば、何人も水を入れるから普通の温度になるんですけどね~と仰っていました。

あとは、飲泉可能かは分からなかったですが、竹の筒があったので飲んでみました。すると意外や意外、味に癖はなくナチュラルな塩味で、温泉云々差し引いたとしても美味しいと思える味でした!宿や街の中でも飲泉場は無かったように思うので、飲泉可能なのはもしかすると温泉街の中でここだけかも知れません。
滝の湯の外観

露天岩風呂(仙人風呂)が売りの旅館『風景館』

宿泊した風景館の浴場は、内湯男女1つずつ、貸切風呂2つ、仙人岩風呂(時間入れ替え制)の4ヶ所。どこも源泉掛け流しのようでしたが、貸切風呂は45℃近く、内湯は40℃代前半、岩風呂は40℃あるかないかぐらいの湯温だったと思います。

貸切風呂は丸風呂と角風呂を選択可能。どちらも屋外で洗い場は無し。夜だったのもあり虫が大量にいたのがどうも気になってしまいましたが、山奥の温泉なのでこればっかりはどうしようもないかなと。

大浴場は、広々とした造り。
風景館の大浴場
男湯にも化粧水の用意があったのがとても好印象。

仙人風呂や貸切風呂には洗い場がないので、宿泊する際には必然的に一度は利用することになると思います。

仙人風呂は宿の建物から山中の階段を150段下っていくと現れる露天風呂。
冬場用のフル装備が有る出口を抜け、外へ。
露天岩風呂への出口
露天岩風呂への出口
旅館の出口を出たところ
蜂トンボ毛虫ゲジゲジ蜘蛛…となんでもありな山道を下っていくと、あばら家が。
仙人岩風呂へ続く階段
上から見た仙人岩風呂

山道を抜けた先。川沿いの岩場の上部に一枚岩を掘る形で露天風呂があります。
仙人岩風呂の浴槽
仙人岩風呂の説明
前日の台風の影響も幾らかあったのかも知れませんが、お湯は40℃前後とぬるめ。
真下には川が流れていて、周りを見渡しても完全に森の中。自然を感じながらのんびりお湯に浸かるには素晴らしい場所でした。

仙人風呂の浴槽
山田温泉『風景館』の露天岩風呂

帰りの登りはハードでした。本館にたどり着く頃には汗ビショに。
下から見上げた階段
※仙人風呂には飲み物の用意がないので持参必須。旅館のフロントまで戻るとお水があります。

総合評価

こじんまりした温泉街で、自然を感じるにはとてもいい場所でした。
外湯(共同湯)も他にはない面白みがあって、旅館のお風呂も充実。派手な泉質ではないですが、掛け流し中心の質のいいお湯がたくさん。とても良い温泉地でした!
【泉質】
★★★★☆ 4.0/5.0
質の高い塩化物泉
【温泉設備】
★★★★★ 5.0/5.0
外湯が面白く、旅館のお風呂も充実
【温泉街の雰囲気】
-/5.0
平日朝しか街を歩かなかったので、評価なし
【総合評価】
★★★★☆ 4.5/5.0

【番外】信州高山温泉郷で自然を楽しむ!

信州高山温泉郷の魅力は、四季の自然をふんだんに楽しめること!夏の緑・秋の紅葉ももちろんですが、大自然は葉の移ろいだけではありません。という事で最後に紹介するのは牧場と滝。

山田牧場

山田温泉から車で20分ほど山を登ると現れる広大な敷地。冬にはスキー場になりますが、夏場は牧場として営業し、牛の放牧が行われます。
飲食宿泊ができるのは敷地の入口近くの一帯。ソフトクリームを頂きました。
山田牧場のレストラン

山田牧場のソフトクリーム
問題は牛ですが、一体どこで放牧されているのやら分からず、飲食店から山を登ること10分近くしてようやく発見!牛に注意との看板も道端にあるぐらいなので敷地全体で放牧されているんでしょうが、訪問した日は猛暑真っ只中で、牛も日陰で休んでいました。
山田牧場の牛の放牧の様子

雷滝

こちらは山田温泉から10分弱の場所にある滝。道沿いの駐車場から滝までは、階段を下ること3分ほど。
雷滝の入り口
滝壺には近付けませんが、その代りと言ってはなんですが滝の裏側に回ることが出来ます。そのことから別称「裏見の滝」とも。
雷滝の裏側
水しぶきたっぷり、マイナスイオンたっぷりでした。
雷滝の滝壺
滝を見上げる