石垣の海

八重山素人の石垣探訪(石垣島 GOTO ワーク⑤ 1108-1115)

初めての八重山探訪である。
恥ずかしながら「八重山」というものがなにを指すものかもわからずに本土に生きること25年。

那覇で1週間すごしたのち、琉球エアコミューターのプロペラ機で石垣島に上陸。
まず人の多さに驚かされる。到着ロビーはすし詰めで、案内旗を持ったおじさまおばさまが大声で人を呼び集めている。飛沫が云々言われているのを、まるで忘れてしまっているかのような雰囲気。

縫うようにしてロビーを抜け、小雨の降りしきるなかバスに乗り離島ターミナルへ。

目次

1.離島ターミナル
2.牛
3.八重山の歴史
4.おわりに

離島ターミナル

石垣市街は、離島ターミナルを中心に成り立っている。

「離島」というものに馴染みのない本土人には「?」であるが、すなわち八重山諸島の窓口が石垣島であり、石垣島を中心に西は与那国、南は波照間まで足を運ぶことが出来るのである。

そしてそのフェリーターミナルが”離島ターミナル”。
空港と市街地を結ぶバスは空港~離島ターミナルのみ。
離島ターミナル行です、と言われると「私は市街地に行きたいんですが…」とどうも不安になるものの、離島ターミナル≒市街地というわけである。

港を中心に町が作られている土地は国内多々あるのではないかと思うが、幾つもの町村に足のあるフェリーターミナルが中心という町はまずないのではなかろうか。
ひしひしと、自分の知らない社会に来たのだなと感じさせられる。

その町のつくりはというと、観光者向けのが店々が離島ターミナル近くに集積しているものの、ものの10分も歩けば常連さんが集う飲食店やJAの販売店や市役所など、地元の方たちの生活圏に接続する。
町が小さいのでそれぐらいのコンパクトさがあるのは当然かもしれないが、観光地と生活圏がこれほどまでにぎゅっと凝縮しているのは珍しいことのように思う。
言ってしまえば繁華街≒観光地のような図式になっていることがこのような現象を生んでいると思われ、市民がほとんど国際通りに足を向けることのない那覇とは事情が違うんだなと一考。

石垣牛

これまた「お恥ずかしながら」であるが、石垣牛というもののの存在を、25年の人生これまで知らずにいた。

本島で”石垣牛ステーキ”の活字をこれでもかと見せつけられていたので、石垣に行くからにはたらふく食べてやろうと心にきめてきた。

石垣に近づく機内から、放牧される黒牛たちの姿が、一度、二度、三度と見えた。

牛の放牧地というのは山奥にあるというのが私の中の勝手な常識だったので、「こんなに海近く、しかも飛行場の間近に牛を飼っているのか」と、なんとなしに胸が高鳴る。

なにが言いたいのかといえば、離島ターミナルの話にも通じるところだが、石垣島の町並みと自然の凝縮度である。

空港から市街地へはバスで30分。

そのあいだに、石垣牛の放牧地があり、サトウキビ畑があり、突如として市街地があらわれ、離島ターミナル、石垣港、市役所にユーグレナモールと、本土の常識では30分の圏内に収まることのそうない情景がぎゅっと凝縮されている。

八重山の歴史

この町のなりたちと歴史というものがどう結びつくかはわからないが、市立博物館に足を運ぶなぞしてこれまで触れることのなかった八重山の歴史を学んだので、記憶に残ったことをかいつまんで書き残しておこうと思う。

いちばんに重くのしかかってきたのは、重税とそれにともなう生活苦、間引き、強制移住などの暗い歴史である。

琉球により侵攻を受け琉球王朝に編入された八重山地方は、本島政府から人頭税(納税能力を考慮しない一人あたまずつに課せられる税金)納税の要求に苦しめられる。

与那国には身ごもった女性に対して跳梁を強い人口調整を図ったとされる”クブラ割”が存在するなど、人口が増え人頭税が課されることが、決して豊かでなかった八重山においてどれほどの重荷であったかがよくわかる。

また、琉球王朝は本土薩摩藩からの納税要求にも応えねばならないことになり、江戸期に入ってからの八重山への納税圧力は苛烈を極める。

肥沃の土地である西表島に人を送り込んだもののマラリアの蔓延により多数の人が死ぬなど、税金に振り回されて多くの人々が亡くなっている。

西表のマラリアについては、第二次大戦時に西表に疎開を強いられた人々が病に倒れるなど、本島や久米島とは違った形での悲劇も生んでいる。

“税”として献上を求められた布についても見識を深めることができたが、これについては自分の手に余るボリュームがあるのでプロの作品にその説明をゆだねることにする。
ー『琉球布紀行』澤地 久枝著/新潮文庫

おわりに

石垣島では、町のつくり、歴史、布地とさまざま普段考えることのないことに頭をめぐらせることが出来たが、なによりも、ダイブサイトが素晴らしかった。(ダイビング記に詳述)
本島とは違うダイナミックさ、一方でミクロな砂地、魚の数と種類の豊富さ。

また、2週間ぐらいどっぷりと、観光目的だけで足を運ぶことができたら幸せだなと思う。

石垣島に養殖拠点を構えるユーグレナ社についても触れたい気持ちが山々あるが、これまたボリュームが増えすぎてしまうので、カフェにて頂いたミドリムシグリーンカレーの写真だけでご愛敬。

ー名護のホテルにて、2週間前を偲びつつ執筆 (2020/11/26)

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