花山温泉_入口

市街地に湧く橙の「関西最強」炭酸泉|花山温泉・薬師の湯(和歌山)|温泉のすゝめ64

和歌山平野のど真ん中。チェーン店の並ぶ幹線道路からひとつ横道に入ると、「関西最強」の電光掲示板が燦然と輝く。
火山帯でもなく、ましてや市街地と呼べる土地に、それほど良質な湯が本当に湧いているのやらとどこか疑心暗鬼な自分がいる。

しかし、湯を浴むおじさまは、橙(だいだい)褐色に浸かりながらこの笑顔。※楽天トラベルより勝手に拝借

温泉おやじ 花山温泉公式観光PR大使、高橋祐次さん。

和歌山ラーメンを平らげ、宿が近づいていることをナビが示せば示すだけ疑念は深まる。到着するとスーパー銭湯の”はしり”のような雰囲気の建物。民宿の気色ある宿泊施設も兼ね備えている。チェックイン。

湯処に入ると、うむ、やはりスーパー銭湯のような、タイル張りの、ザ・大浴場。しかし歩みをすすめると、あまりの異様さに目を疑う橙色の浴槽が。

湯は橙褐色。「和歌山みかん色」などと軽率なことを言いたくなるほどの濃い橙。
湧出口近くには、珊瑚を思わせる温泉成分の堆積が。「大地を感じる」ことを掲げる温泉施設は数多あるが、湯が大地の底から沸々と湧いているのだということをこれほどに感じさせるものはなかなか無かろう。

豊富な湯量だからこそ出来る源泉掛け流し。
無論、循環設備など入れようものならば維持費が途方もなく掛かるであろうから、この湯量/湯質が同じき場所に兼ね備えられているというのはなんとも妙なことである。

源泉槽は、つめたい。
細胞ひとつひとつがぴーんと背を伸ばすような、そんな感覚。
冷泉の懐深さに抱かれると、加温槽はどうにも物足りないものに思えてしまう。

長湯を意図した加温の少ない小浴槽も整備されてはいるが、源泉を味わい得るとなればやはり源泉に限る。

湯質は、表現するなれば、「バリッとしている」とでも言おうか。
しっとりすべすべを求めるならば、この湯ではない。
しかし湯に身を浸し大地を感じるという意味では、これに勝るものは無いのではないかと言えるほどに力強い湯処であり湯槽であった。

和歌山駅は当然ながら、関西国際からもアクセスがよいのが関東人からすると実に頼もしい。再訪必至の湯である。

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