風貌はなんてことのない”町銭湯”。
ただ、そこに注ぐ湯が掛け流しの温泉であると、ただそれだけ。
鹿児島が誇る温泉地、霧島の名を冠した公共浴場「霧島温泉」。
鹿児島で一番の繁華街、天文館から徒歩10分ほど。片道二車線の通りに佇む姿は、都会の建物群に囲まれ、どこかいじらしい。
どこにも開湯年次の記述が見当たらなかったが、建物は築50〜60年は経っているだろうかという空気感。
木、タイル、レンガ。無骨と一言で片づけようか、味があると言ってみようか、少しく悩ましい。
湯処には小さな浴槽が一つ。
その周り三面を囲む洗場には石鹸シャンプー類はもちろん無く、洗髪洗体のための水は各カランから湯水をケロリンに併せる古典的なもの。
浴槽へと注ぐ湯は恐らく源泉ままの掛け流し。
飲泉の古い案内看板があったので、
湯壺から溢れ出る湯を手水の要領で口へと運ぶ。
しょっぱい、まさしく、塩泉。
湯は綺麗で伸びもある。
肌の上で伸びるような感覚があるものの、含塩量が多いためか「ヌメっ」とも「ツルっ」とも表現し難い湯質。
20秒ほど湯に浸かりながら頭を廻し、思いついたのは「いい意味でジトッとしてる」湯。
これが私の描写力の限界であります。
この体験とホンモノの霧島の湯とを比べる日が、楽しみ楽しみ。