鷹巣温泉暖簾

山奥に沸く塩泉、秘湯|鷹ノ巣温泉(新潟)|温泉のすゝめ54

コロナ禍、賛否両論あることは重々の承知のもと、新潟県は鷹ノ巣温泉へ。

友人は低評価の口コミを気に掛けていたものの、その多くは「虫が出た」だの何だの。
彼/彼女らの秘湯に対する期待値がズレてるだけで、それを宿の評価に結びつけるとは厚顔無恥にも程がある。

新潟に用事があったので、「秘湯を守る会」の書籍から県内の、そこそこなお値段で泊まれそうな宿をピックアップ。
最終的に白羽の矢が立ったのが、鷹の巣温泉。

鷹巣温泉暖簾

予備知識ゼロで伺ったのですが、思いがけなかったのは
・湯が塩泉であること
・山本五十六の宿泊歴があること

湯処つきの離れが強みの宿のようでしたが、利用したのは本館の大浴場。
素朴とは言い得て妙。寂を感ずる木組みの湯処。
床は石畳、天は高く立派な梁が露わに。

ちろちろと50度半ばの源泉が掛け流される湯船は45度弱の体感温度。
友人曰く「湯あたりが軟らかいから案外いける」。
確かに身を浸し切るまではピリリと感じるものの、肩まで隠れてしまえばじんわりと。

無色透明な、ただただ透度の高い美しい湯。
巷で流行りの「天然温泉」は、掘り起こした地下水を「温泉」と呼び加温しているものがほとんど。
名分として温泉で有り得ることは間違いないが、どこか味気無く、力の無い湯であることがままある。
しかしこの湯は、山奥の奥、秘湯でありながら塩気のある湯。
「ああ、温泉だ」と、しっとりと肌に感じます。

いやはや、良い湯でありました。
身体の底からぐっと何かを引き出すような、優しくも力強い湯。

それと、蛇足、山本五十六の訪れた宿。
“やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ”の一節は、ビジネス書にも多く引用される有名な句。

確かにどこかで、山本五十六が長岡出身だと読んだ記憶が朧げに甦ってきました。
将官の「船乗業」の直筆には茶目毛が感じられます。これぐらいの、余裕のある大人になりたい。。

鷹巣館山本五十六宿泊録

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