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東京ドーム公演から考えるONE OK ROCKの現在地と未来図

昨日4月4日の東京ドーム公演を観てきたので、観ながら考えたことを少し。ライブレポートと言うよりも、TakaのMCから考えたONE OK ROCKの過去と現在と未来について書こうと思います。

まずは、少しく前置きを。そもそも今回ライブを観に行くことに決めたのは、「いい加減ワンオクに区切りを付けよう」という動機から。高校生の頃(5,6年前)は頻繁に聴いていたONE OK ROCKですが、最近はアルバムをiTunesで買いはするものの、その度に個人的な感想は「うーん、なんかいまいち」といった感じ。ドイツ留学中にヨーロッパ公演があれば良かったんですがそれも無く、「これでワンオクは最後!」と踏ん切りを付けられずにいました。
前回ワンオクを観たのはAll Time Lowとのスプリットツアーで、これもどちらかと言えばATLを観に行った部分が大きかったので、やはり最後にはワンマンを観たかった。

で、白羽の矢が立ったのが今回のライブ。僕が聴いていた頃のツアーはZepp2Days +新木場みたいなキャパシティだったので、ドーム2Daysに感慨深さもありつつ、これが最後ならいい区切りにもなるだろう、と。

やっとここから本題ですが、今回はライブレポートどうこうではなく、ONE OK ROCKの現在の立ち位置と、今後進んでいく道についてライブ中に考えたことを書こうと思います。

※TakaのMCの内容は、ニュアンスを捉えただけで一言一句同じではないです。ご了承ください。

まずはTakaがMCで言っていた、「ONE OK ROCKはみんなが思うよりも険しい道にいると思う。ヒット映画のエピソード2を作るが難しいのと同じように、たくさんの期待を背負って作品を作ることはとても難しい。」という言葉について。
ワンオクの楽曲を聴く人は世界中に何万何十万何百万と居て、リリースされる楽曲への期待値が高いことは言わずもがなです。ですが過去のリリース作品をまじまじと振り返ってみると、「ワンオクらしさって、なに?」と改めて思う方が多いかと思います。例えに東京ドームでワンマンを行うようなアーティストを挙げれば、ミスチルには「ミスチルらしさ」があり、B’zには「B’zらしさ」が、Perfumeには「Perfumeらしさ」があるように思います。
確かにONE OK ROCKもロックバンドであり、軸にあるものはロックです。ですが1stアルバム『ゼイタクビョウ』と最新アルバム『Ambition』を比べればその差は歴然。歌い回しから曲の構成、サウンドメイクまで何から何からが違います(なんならメンバー構成も違う)。この間ほんの10年。未だに「ワンオクらしさ」が見つからない中で東京ドームという最大キャパシティまで来てしまった。先に挙げたようなアーティストならば、ミスチルならば「ミスチルらしい曲」を。B’zならば「B’zのような曲」をリリースすれば、ファンの大多数は満足します。なぜならその「らしさ」に惹かれてそのアーティストを応援している部分が多分にあるからです(あくまで仮説ですが)。
じゃあワンオクはどうしたら良い?と言えば、最近ファンになった人は『Change』『We are』のようなポップサウンドも取り入れた楽曲に満足するでしょうし、一方で僕は『Nicheシンドローム』のようなアルバムがまた出たら面白いなと思っている。
つまり言いたいことは、ONE OK ROCKのファンは「ワンオクらしさ」に惹かれているのでは無いのではないか?という事です。そう考えれば、Takaの言っていた「期待に応えるのは難しい」という点とも符号性があります。

ではファンはONE OK ROCKの何に惹かれているのか?と言えば、僕はTakaのカリスマ性、ONE OK ROCKがバンドとして持っているストーリー性の2点ではないかと考えました。
急に分析的でなくなりますが、先にまず挙げたのはTakaについて。僕がワンオクで好きなのは2010年代前半のパンクな楽曲たちですが、今でも最新リリースを追い掛けますし、ライブも行ってみたいなぁと思います。昨日ライブを観ていて思ったのは、古い楽曲も多くのワンオクファンに愛されているという事。キャパシティの拡大スピードを考えれば、現在のワンオクファンの多くの入り口は『人生×僕=』以降だったのでは無いかと思います。それでも昨日のライブでは『内秘心書』と『努努』のアコースティックに会場全体が湧き、『未完成交響曲』『キミシダイ列車』『Wherever you are』『Nobody’s home』といった、アルバム『残響リファレンス』以前の楽曲にも大きな歓声が上がっていました。
この様子を見て確信したのは、ワンオクファンが追っているものは「ワンオクらしさ」ではなく、彼らが創り上げてきた過去を含めた「ONE OK ROCK」なのでは無いか、という事です。つまり、他の有名アーティストが持っているような「〇〇らしさ」でなく、ONE OK ROCKそのものが好きなのでは?ということです。ではなぜONE OK ROCKを過去へ未来へと追いかけたくなるかと言えば、ようやく先の部分に話が戻ってきましたが、Takaの人柄であったり包容力といった、一言でまとめれば「カリスマ性」という部分だと思います。
いつライブを観に行っても前向きで、よくMCで口にするのは「辛くなったらまた遊びに来いよ」。それに言葉が正直で、そこに惹かれる人も多いだろうと思います(昨日のライブでは「ドームツアーやって、次に目指す場所ってどこなんだよーと思うこともある」と言ってました)。それにTaka自身が持っている、『Nobody`s home』に表現されているような家族のエピソードや、過去の悪行などの(劇的な)ストーリー性。Takaを形作っている過去の出来事と、現在の立ち居振る舞いは、バンドそのものを応援したくなる要素としてかなり大きいのではないかと思います。
それともう一点挙げたのは、ONE OK ROCKのストーリー性。「親の七光り」と言われたく無いからとメディアには殆ど露出せず、その中でもこの大成功。それでいながら「挑戦し続けるか止めるかの2択」という発言を見せるなど、決して現在の地位に安住することのないバンドの姿勢とその儚さ。などなど。
人が物事に魅力を感じるポイントは百人いれば百あるので挙げればきりがないですが、ONE OK ROCKが持っている儚さといいますか、何といいますか、ともかくも、人を魅了する点がすごく多くてそのどれもが効果的だなと感じます。

この事を考えると、Takaは「ワンオクは険しい道に居る」と言っていましたが、未来はそう暗く無いのではないかと個人的には思います。昨日のどこかのMCでTakaが、「(ONE OK ROCKは)ここまで来ちゃえば挑戦し続けるか諦めてやめるかの2択」と言っていました。過去10年間でこれだけ変化を遂げてきて、未だにバンドは変化を続けています。となれば、本人の口から出たように、「もう挑戦し続けることは出来ない、全てを出し切った」という日が来るまで、ONE OK ROCKは挑戦を続け変化し続けると思います。
バンドが活動を続けるにはもちろんファンの存在が必須ですが、未だに「らしさ」を確立していないワンオクを応援している現在のファンが、今後のONE OK ROCKの挑戦・変化に拒絶反応を起こすとは思えません。
それに昨日の本編終盤でColdrain、Cossfaith、SiMのボーカルがゲストで出てきましたが、ライブ全体の中でこの瞬間の歓声が一番大きかったんです(Takaの声が聞こえずに、誰が出てきたのか分からなかったほど)。それぐらいワンオクを取り巻く環境全体を、ひいてはロックを愛している懐の深いファンが多いことが分かったので、より強く、彼ら(僕も含めてですが)ファンがONE OK ROCKから離れていくことはそう無いだろうと確信しました。

最後に分かりやすくまとめると。
・「ワンオクらしさ」は未だに存在せず、バンドは現在も進化・変化を進めている
・バンドの持つ「らしさ」でなく、ONE OK ROCKそのものに惹かれているファンが多い
・また、音楽を愛している、懐の深いファンが多い
・そのため、TakaのMCからも分かるようにONE OK ROCKはこれからも挑戦(変化)を続けていくであろうが、ファンが離れていくことは無いだろう
ということです。

MCで「そろそろバンドの第一章を終わらせて第二章を始める時が来た気がしている」と言っていましたが、これまでの目まぐるしい変化の期間を第一章として、第二章では「ワンオクらしさ」というものを確立していくのではないかと思います。
ここまで読んできていただいてアレですが、あくまで一ファンの譫言(うわごと)ですので、「そういう風にバンドの今後を見ていくのも面白いかもね」程度に読んで頂けたら幸いです。
こんな駄文を最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

「僕たちと、未来をやり直してくれませんか」flumpool Re:imageライブレポート

久しぶりにflumpoolのライブを見てきました。昨年のEGGのリリースツアーぶり。
ベビメタやらWEAVERの記事を書いた時には、「こいつはレッチリファンだ」だの「1回ライブ観たぐらいで調子乗るな」等々厳しいご意見を頂きましたが、flumpoolはファン歴も長いので、自信を持って厳しいことを書こうと思います。

結論から言えば、泣きました。メンバーの言葉、セットリスト、メッセージ性。それら全てに込められてた思いと、flumpoolと共にした、ファンとしての約9年間が共鳴したような感覚。
10周年を目前にしたメンバーの思いがMCを通じて語られ、その言葉を聞いた上で聴く中盤のセットリスト。「素晴らしい」で片付けるには惜しいぐらい、flumpoolの、バンドとしての実力の高まりを感じました。

なんと言いますか、心動かされたのは圧倒的に中盤戦からで、言及したいのもそこなので、序盤の話はサクッと。
オープニングがあってから、1曲目は「World Beats」で会場の熱を一気に上げます。2,3曲目も、「星に願いを」→「夏Dive!」とキラーチューンをドドンと投下。隆太くんの声がずいぶん不安定で、観客としても、そちらに気が行ってしまって盛り上がり切れないような雰囲気。最後までずっと声は戻りませんでしたが、ライブが進むにつれて没入感が高まって、声のことは最終的には全く気にならなくなりました。
MCを挟んで、「WINNER」「DILEMMA」「two of us」。「DILEMMA」はEGGツアーで披露が無かったので(確か)、ようやく生で。
MCで「最近の僕たちの曲をやりますけど、付いてきてね」との言葉から、「絶体絶命!!」「夜は眠れるかい」「FREE YOUR MIND」「ラストコール」。EGGツアーの「絶体絶命!!」の演出が好きだったので、映像演出が無いのに少し寂しさを感じつつ。

そして問題はここから。まずは重めのMC。一言一句同じではないですが、こんな感じの内容。
「僕たちは来年で、デビュー10周年を迎えます。バンドがそんなに長続きすることなんてなかなかない時代で、10年も続けられたなんて、本当にありがたいことです。ありがとう。」
「でもその一方で、驕り(おごり)かもしれないけど、10周年を迎えるバンドっていうのは、もっと大きい会場を回って、誰もが知ってる代表曲があって、、そういう姿を想像していました。」
「だけど現実、僕たちはそういう場所には居ません。だからと言って、過去は変えられません。 だけど僕らには未来があるし、まだまだ(そういうバンドになれる)可能性はあると思ってます。」
「だから、僕らと一緒に、未来をやり直してもらえませんか?」
というもの。
10周年でハッピーですで終わるかと思ったMCが一転、最後の言葉は「僕らと未来をやり直してくれませんか?」。
flumpoolを好きになって、クアトロ、ホールツアー、武道館、横浜アリーナ、さいたまアリーナとあっという間に広がって行ったキャパシティ。けれどさいたまアリーナを超える会場には辿り着くことが出来ず、ファンとしても、「flumpoolはこれ以上伸びないのか。。」とやきもきしていた部分がいくらかありました。
ファン心理としての大きい会場への憧れを忘れていたこのタイミングで、10周年を機に、メンバーから吐露された想い。
メンバーも同じような事を考えて、苦しんでいたんだなと初めて気がつきました。

そんな中で次の楽曲は、「花になれ」。
デビュー曲だった、この、提供曲の「花になれ」。曲を作っていたことに対する自信を打ち砕かれ、悔しかったと語っていたこの楽曲。flumpoolがデビューするにあたって、メンバーがぶつかった一番初めの大きな壁がこの「花になれ」だったはずです。
「10年後ぼくにこの歌を捧げよう」「まだ蕾のまま光のさす場所をずっと探してる」「どこまで行けば笑いあえるの?」
百田留衣さん詞曲の「花になれ」。百田さんがプロデューサーを外れた後の対談で「花になれを超える楽曲を作ってみせます!」と語っていたメンバー。
先のMCを見ればわかりますが、メンバーとしては、「花になれ」を超える楽曲はこの10年で作れなかった、というのが正直なところだと思います。その悔しさを抱えながら、噛みしめるように奏でられる「花になれ」。
そして次は、「僕はここにいる」。
Fantasia of Life Stripeに収録されているカップリング曲で、知名度自体はそれほど高くない楽曲。それでも、「花になれ」の歌詞に呼応するかのような、MCでの宣言をそのまま写し出したような歌詞。
「今 僕は此処にいる
道なき道をゆく いつだって限界を感じてきたけど
未来にも 僕はいて その自分に限界なんて 微塵も感じないから
揺るがない希望を 抱いて」
そして、続いては「ナミダリセット」。
ドイツ留学中にリリースされたこともあって正直そこまで聴き込んでいなかったんですが、こんなにいい曲だったのか、と。歌詞に耳を傾けながら聴いていると、もう既に溢れていた涙がより一層。
最後は「reboot〜あきらめない詩〜」。
自分がflumpoolで一番好きな楽曲。ポリープ手術のタイミングでリリースされた曲で、まだまだreboot(再起動)して行ける、rebootして行こう!というメッセージが込められています。花になれ、僕はここにいる、ナミダリセットの3曲でしっとりしているところを一気に盛り上げる、素晴らしい選曲でした。flumpoolも、こんなに力強いセットリストが組めるようになったんだなと、感心してしまいました。

その後は、いつも通りの終盤戦。相変わらず隆太くんは調子が悪そうでしたが、感情がすっかり入ってしまっていたので、個人的にはほとんど気になりませんでした。

なんだか冗長な文章にはなりましたが、中盤のMCからの4曲が本当に魅力的だったので、自分で見返すためもありますが、文字に起こすことが出来て良かったです。

9年ものあいだずっと大好きなflumpoolです。どれほど復帰まで掛かるのか分かりませんが、気長に待とうと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。

WEAVERのライブを初めて観て思ったこと。

※一曲だけ曲名が出てきますが、ライブレポというよりは「思ったこと」です。一応ネタバレになるので、気になる方はご遠慮ください。

flumpoolの2009年武道館公演にOAとして出演していたWEAVER。flumpoolを見るつもりで買ったDVDに収録されていた演奏に驚きを覚えたのも8年前、当時中学3年生。あまりフェスに出演しないこともあって一度も生でパフォーマンスを観る機会なく8年が過ぎていたんですが、留学中にプチブームになり、このたびはZepp DivercityTOKYOへと足を運びました。
今回の公演はA/Wツアーの初日公演。ですがそれ以前にWEAVERを観るのが初めてだったので、初めて観た感想という視点で思ったことを書こうと思います。

まずはライブについてですが、とても素晴らしかったです。セットリストのバランス感、MCの抜き具合、演奏も安定していました。生で聴いてみるとドラムの音が少しカタいかなとも感じましたが、スタッフ含めメンバーの作り上げている音なので、それはそれということで。

で、素晴らしい演奏・ライブだったという事を前提に書きたいのは、ファンの質の問題。
多くのアーティストが時おり口にするのは「僕たちには良いファンがついてくれた」という言葉。これは、ファンの民度が高いだのそういうことでは無くって、「熱心に応援してくれる」だとか「自分たちのやりたい音楽と同じ方向を向いてくれる」という話。この点でWEAVERについているファンは、「いいファン」とは言い難いなとこのライブを観て感じました。メンバーはtwitter等でもポジティブなコメントをしているのでこういうネガティブなことを書くのもどうかとは思いますが、ただの素人の一意見ですので、書きます。
 
どのバンドにもそれぞれ色があって、ライブでの楽しみ方もそれぞれです。モッシュ自体を楽しみに来る人が多いようなライブもあれば、座席付きの会場でしっとりと鑑賞するライブも。ですが今回観たWEAVERのライブはといえば、バンドの音楽とファンの盛り上がり方が明らかに乖離していたなという感想です。何というか、お互いがそっぽを向き合ってしまっている感じ。
WEAVERは元々ピアノロックバンドを標榜していて、ついているファンもそれに見合って、「ロキノン!!」と言うよりは、大人しい人だったりが多め。そして年齢層も少し高めかなと言う気がします。ですがバンドが近年取り組んでいるのは、EDMを取り入れたエレクトロな楽曲。ファンはピアノの旋律に惹かれていたのに、バンドが産み出す音楽はその対局ともいえるエレクトロ。楽曲の質自体は非常に高いだけに、不運と言いますか、ファン側もメンバー側も可哀想だなと俯瞰的に視点からは思いました。
あとこれは抽象的な話にはなりますが、メンバーは「音楽」を演奏しているのにファン側は「楽曲」を聴きに来てるのでは?っていうのもライブを観て感じたこと。メンバーとしては「とにかく音に身を任せて楽しんで欲しい。きっと楽しいから安心して!」という心持ちなんだろうと思うんですが、ファンとしては「エレクトロはノリ方がわからないから、とりあえず手拍子をしておこう」とでもいうような振る舞い。
ドイツで観たColdplayの公演がとても印象的なんですけど、観客側は誰も彼もが、周りに構わずビール片手に踊ってるんですよね。音楽の楽しみ方なんて自由なのに、手拍子か、腕を上げて前後にする運動の2つしかライブ鑑賞時に取り得る表現オプションの無いファンがほとんど(会場の90%以上)の現状。
本当に楽曲は素晴らしいと思うので、ピアノ楽曲もエレクトロな楽曲もとても気に入っている身としては、このことはとても残念です。

それに、とてもネガティブな話になりますが、メンバーがこの客層、ライブの盛り上がり方に満足しているのかがいまひとつ不明。例えば『KOKO』の、ブレイクからサビに入る部分。色々な音楽を聴いている人ならば自然と体がうずいて飛び跳ねてしまいそうなところなんですが、この日の観客は、頭が動くことも一切無く、ただただ腕を前後に振るのみ。
「みんなが楽しめるような曲を作りたい」というMCでの言葉を聞く限りはメンバーもいまの客層に満足しているのかなという感じですが、全く盛り上がっていない(というかズレた盛り上がり方をした)客席を見て、メンバーはどういう気持ちなんだろうとどうしても考えてしまいます。

バンドとしてはファンが求めている曲を作りたい気持ちももちろんあるでしょうが、自分たちが今作りたい曲を胸を張って作っていきたいという想いも強いはず。本当ならファンがバンドの変化を追いかけていくのがベストなんですが、このライブの様子を観ている限りではその望みは薄そう。
そこでライブ中にずっと考えていたのは、メンバーは一度イギリス留学に行ってることですし、ヨーロッパで武者修行のようなことをやったら良いのではないかな、ということ。ヨーロッパには楽曲やアーティストに縛られず、音楽自体を楽しむ文化があります。なので、WEAVERの楽曲は質が高いので、日本語詞のままでも通用する可能性は十分あると思います。そして何よりの強みは、ピアノやエレクトロサウンドを取り入れながらも、あくまでJ-POPの影響を強く受けているということ。J-POPのメロディー、歌い回しは欧米では珍しいはずなので、押し方次第では武器になります。
武者修行は例えば、昼は路上ライブを2,3本やって宣伝をし、夜はどこかのライブハウスに飛び込みで演奏、といったようなもの。13本もツアーをやっているバンドなのでパフォーマンス力は既に十分にあると思います。ですがこの日のパフォーマンスを観たところ、メンバーは3人の出す音を凄く大切にしてるなと感じました。ですのでビートルズのハンブルク時代のような「武者修行」をすれば、より一層バンド力も上がると思います。
そこからは、それを契機に例えばBABYMETALのように海外の大物アーティストのOAに呼んでもらうことを狙ったりだとか。Coldplayの系譜に現在のWEAVERはあると思うので、そういうところのOAに呼んでもらえれば一気に形勢は変わると思います。そしてそこから逆輸入という形で国内ファンを増やせば、いまのWEAVERの音楽についてくることの出来るファンも獲得できるでしょうし。
まあ口で言うのは簡単でそう上手く行くものでは無いでしょうが、このままWEAVERが中途半端な立ち位置に居続けるのはとても残念なので、ある意味博打的な発想です。他に国内で生きていく道を切り開けるのがベストだとは思いますが。
 
という事で、ずいぶんとまとまりの無い文章になりましたがライブ中に考えていたことをアウトプットしてみました。WEAVER、本当に素晴らしい楽曲を持っているので、もっとたくさんの、色々な人のもとに彼らの音楽が届くようにと願うばかりです。

欅坂46「真っ白なものは汚したくなる」幕張メッセ公演1日目を観て。

2017年8月29日、幕張メッセ。
幕張を訪れるのは9日前のSUMMER SONICぶりでしたが、欅坂46を観るのは一年前の『世界には愛しかない』全国握手会ぶり。2016年5月にあったZeppDivercityでのイベントでライブを観たことはあったんですが、有明コロシアムでのワンマンライブはドイツ滞在中だったので観ることが出来ず。ということで、初めてのフルセットリストでのライブでした。
ズブの素人、言うなればただのオタですが、色々考えるところがあったのでアウトプットしておこうと思います。

1. アイドルではなくアーティスト 運営の方針が見えた舞台演出とセットリスト

楽曲が格好いいと評判の高い欅坂46。乃木坂46との差別化も図らなければならない中で、楽曲重視路線で売っていくんだろうなというのはリリースされるシングルを見れば明らかでした。そんな中でも、昨年のCOUNT DOWN JAPANを筆頭に、今年もROCK IN ON JAPAN FESTIVALとSUMMER SONICといったロックフェスに出演。なぜ欅坂はロックフェスに呼ばれるのか、運営も積極的にオファーを受けるのかいまいちピンとしていない部分がありましたが、このライブを観て合点がつきました。
まず開場後から開演までの会場BGM。アイドルの現場にそれほど行ったことがないので何が普通なのかは分からないのですが、アイドルコンサートの前のBGMは、無音であったり、自分たちの楽曲が流れていることが多い印象があります。ですがこの日の会場BGMは洋楽カバー10曲ほどのリピート。分かったのはJETの『Are you gonna be my girl』とJackson5『ABC』だけでしたが、恐らく全て洋楽の有名楽曲カバーだったと思われます。会場BGMってバンド・アーティストの色が出る部分だと思うんですが、このチョイスをしてくるあたりに、運営は欅坂46を、アイドルとしてでなくアーティストとして売っていきたいのでは?という意図が見えました。
そして舞台演出。一曲目『エキセントリック』は、アイドルライブの定番サイリウムの点灯を禁止。ステージ前の幕に歌詞を投影しながらのパフォーマンスでした。アイドルコンサートと言えば、ファンはサイリウムを焚き大声で叫ぶ、一方でアイドルはファンに向けて愛嬌を振りまく、というのがベース。ですが1曲目からサイリウムの利用も禁止し、メンバーの顔もよく見えない。そこまでしてでも歌詞を主張したい!という舞台演出。一般的なアイドルのライブでは考えられない演出に、度肝を抜かれました。それに、演出上のトロッコなどは一切なく(気球を使った演出はありましたが)、Fブロックにいた僕らはほとんどメンバーの姿を直接拝むことなくライブは終了しました。全編通して、観客側に媚びないという点でどこかアーティスト的な、一貫したものを感じさせました。

そしてセットリスト。一番衝撃だったのは、最新シングル『不協和音』のパフォーマンスが無かったこと。あとから考えればツアー・ファイナルのダブルアンコールを一層盛り上げるための伏線だったわけですが、とは言え4枚しかリリースしていないシングルのリード楽曲。一般的なことを言えば、15~20曲ほどあるセットリストの中に、4曲しか無いシングル曲を入れないというのは考えられません。コアなファンはむしろその方が嬉しかったりもしますが、知っている楽曲が多く演奏されたほうが嬉しいのが一般的なファン心理。さすがにワンマンを観に来て最新シングルを知らない人は少ないと考えられるので、『不協和音』をセットリスト内に組み込むのは定石中の定石と言えます。そこを平然と無視してくる運営。やはり、ライトなファンに媚びないという点で、アイドルというよりも「アーティスト」だなと感じました。

 

2. 不仲説を感じさせないステージ上のメンバーたち 1年で進化した振る舞い

ネット上で密かに囁かれるメンバーの不仲説。(僕が知る限り、)この話が顕在化したのはいつぞやの菅井キャプテンのSHOWROOM後から。出演していた長濱ねるの態度にあまりにも目に余る部分があり、まるで女子グループの集団イジメ(ハブり)のようだと非難轟々。僕もYouTubeで配信を全編見ましたが、世に配信されているのにこの振る舞いはいかがなものかと幻滅しました。1年前の『世界には愛しかない』全国握手会ではありがたいことにステージ目の前のブロックだったんですが、そのMCの際にもこの配信の予兆とも言える現象が。
『世界には愛しかない』全国握手会はけやき坂46メンバーのお披露目的な位置づけもあったので、MCではけやき坂上手、欅坂下手に分かれて菅井キャプテンがけやき坂のメンバーにインタビューを行うような場面がありました。その時に欅坂側の端にいたのは斎藤冬優花。ダラダラとしたMCで会場の雰囲気が悪い中、必死にけやき坂に話を振り続ける菅井キャプテン。それを嘲笑うかのように、こそこそ話を端で延々と続ける斎藤冬優花。長濱斎藤の仲がいいことを考えると、あの頃からキャプテンとの間にはわだかまりがあったんだろうなと思います。
ただ、ここで言いたいのは不仲説がどうこうでは無く、それを感じさせないパフォーマンスが素晴らしかった!という話。欅って書けない?を観ていると、いつまでも素人感が抜けず、いつになったら芸能人らしさが出るんだろう。。と思ってしまうんですが、ライブパフォーマンスを観ると印象は一転。モニター越しの印象だけではあるんですが、表情や体の使い方、MCでの立ち居振る舞いなどバラエティでのメンバーの姿からは考えられないほどアーティストとしてキレがありました。

 

3. 平手友梨奈の謎 笑顔と無表情の狭間

このライブを観て一番気になったのは、平手友梨奈の症状というか、精神状態はどういうものなのかという点。1年間現場から離れネット情報とYouTubeに上がるテレビ番組だけを情報源に生きてきました。テレビに出てくる平手ちゃんは一言も発さず下を向いているばかりですし、掲示板の情報だと病んでるだのなんだの。握手会での発煙筒事件もあったりしましたし、どういう精神状態でいるのかよく分からないままにこのライブを迎えました。
前述の通りモニターに抜かれない限りメンバーの表情までは見えない訳ですが、平手ちゃんの表情は基本的に、無。メンバーにちょっかいを出されるものの俯いたままで無表情だったり、後ろからみーちゃん(小池美波)にハグされても、少しビクッとしただけで無表情だったり。唯一笑っていたのは、アンコールでの『W-KEYAKIZAKAの詩』の時だけ。それも、ファンに向けての笑顔というよりは、何か面白いことがあったかメンバー同士でニコニコしているような感じでした。
『世界には愛しかない』のセリフのパートも平手ちゃんだけはCD音源をそのまま流していたり、明るい声を出せる精神状態では無いのかなというのは感じました。
これは、体調が悪いのか、精神状態が悪いのか、単に反抗期が重なっているのか。。 千秋楽公演では、血にまみれた演出があって迫力もあったということなので、運営に対して反抗しているだとか、欅坂の活動、自分の立ち位置にうんざりしているという可能性は低いのかなと思います。体調自体が悪かったらハードなライブツアーに堪えられないでしょうし、活動自体に影響のあるほど酷い精神状態ではないんでしょうが、相変わらず心配です。
全体を見渡すとワンマングループ感はない欅坂46ですが、アーティストとして売る中で平手友梨奈を中心に添え、軸としているのは間違いありません。これからどのように平手ちゃんが成長していくのか、心配でありながらも楽しみです。

 

4. ライブを観てこそ分かるけやき坂46の魅力

ねるそん(長濱ねる)の加入と共に立ち上がった、けやき坂46。テレビでの露出も欅坂46に比べて少なめで、一体このグループはどこに向かうんだろう、どう運営はグループを活かしていくのだろう、というのが全く見えなかったけやき坂。いかんせん生の情報が少なかったのもあり、あまり深くは追っていませんでした。SHOWROOMはたまに観たりしつつも、どの楽曲がけやき坂の曲なのか等は全く知らずでの今回のライブ鑑賞でした。
今回のライブで披露されたけやき坂46の楽曲は、『永遠の白線』『100年待てば(長濱ねるソロ)』『誰よりも高く跳べ!』の3曲。欅坂46の楽曲はダークでかっこいい曲が多いので、けやき坂のこの3曲は明るく、箸休めも兼ねて純粋な気持ちで楽しむことが出来ました。
そしてライブを観ていて魅力的だなと思ったのは、メンバーのキャラ立ち。欅坂兼任で芯の通った長濱ねるを筆頭に、煽りの上手い佐々木久美、パワーのある斎藤京子が特に目立っていたなという印象。目立っていたというよりは、会場の隅々まで音を届かせる能力というか、会場の一体感を高める能力がすごく高くて、その点では欅坂46に勝っているんではないかなと漠然とですが感じました。

 

5. ペンライトカラーに見る乃木坂46とのファン層の違い

今回のツアーで一番へぇーと思ったのは、これ。ペンライトの色がめっちゃ緑!!ちゃんとずーみん(今泉佑唯)ソロの曲では一帯が真っ黄色になっていたので推しカラーの概念は浸透しているはずなんですが、常時推しカラーにしてる人が非常に少ないです。誰かしらのソロ曲でも緑のままだったら「カラーを変える文化が無いんだなぁ」っていう話で済むんですが、なんでなんでしょう。。笑
あとは、公式のペンライトを持っている人もとても多い!他の現場で使いにくくて汎用性が低いなーと思い公式のペンライトは乃木坂でも買ってないんですが、乃木坂の現場に比べて公式ペンライトの浸透率が高かったです。この点から単純な推測をするなら、欅だけを応援しているファンが多いってことでしょうか。乃木坂の現場は48Gから流れてきた人が多いな~っていう印象があるんですが(周りの友人も大抵48グループをかじってるので)、欅は48Gや乃木坂から流れてきたファンが比較的少ないのかもしれません。楽曲のインパクトでドンッと売れたのでその可能性は十分に考えられますが、意外と乃木坂から流れてきた人って少ないんですかね。乃木坂を通ってきていたら、サイリウムも基本推しカラーでしょうし。
という訳で、欅坂46のファンは欅坂専属(?)のファンが多く、AKBGや乃木坂46からの流れファンが少ないのでは!?という考察でした。会場でファンを眺めてると乃木坂は大学生が多そうな感じがしますが、欅坂は中高生多め、おじさん層の人達は、欅のほうが厄介そうな人が多いなというのが印象です。本当に見た目だけでの勝手な判断ですが。
だからなんなんだって話ですが、欅のライブではサイリウムは緑固定がアンパイですよって話です。あと、ワンマンにしてはソロ参戦の人も多めだった気がします。これも、グループに付いてるファンの個性。ひいてはグループの色なのでしょうか。

 

6. 欅坂・けやき坂46の今後の展望は?(全くわからないのでそれらしい事を)

今後、欅坂・けやき坂46がどうなっていくのか。このライブを観て確信したのは、ど真ん中のアイドルというよりは、どちらかと言えばアーティストとして楽曲を売っていくんだろうなということ。あとは、けやき坂46のパフォーマンスを観て、欅坂が陰、けやき坂が陽という棲み分けは強まっていくだろうなとも感じました。
となると陽の部分を表現しやすいTV番組はけやき坂中心にシフトしていった方がブランディングはしやすいのかなという気はしますが、今のところそういった流れは見られません。中途半端に欅坂のメンバーがテレビでわちゃわちゃしているのはアーティストとして売り込んでいく上ではマイナスに働くのではと僕は思うんですが、ギャップがあって良いという見方をすればプラスなんでしょうか。いつまで経ってもバラエティでの素人感が抜けないので、それが好きな人には良いんでしょうが、個人的にはどうにかなってくれよと思っています。そういう意味でも、けやき坂に番組を全面的に引き渡して、アイドルど真ん中な番組作りをしても良い気はしますが。

以上、アウトプットでした!
最後までお付き合い頂きありがとうございました。