恐ろしさを感じるほどに滑らかな湯である。
足を運んだのは佐賀県は嬉野温泉。
数多ある九州の温泉の中で、関東人が選ぶにはやや決定打に欠けると言わざるを得ない温泉地である。
今回は、佐賀市内の大隈重信記念館に足を運びたかったこと、金曜夜の仕事終わりに博多から足を伸ばすことができること、という2点を考えて嬉野温泉を選択した。
湯処の営業は24時まで。博多で水炊き、うどんを堪能したのちに滑りこむ。
広々とした内湯、こじんまりとした露天湯。
しかし、この際湯処の質などどうでもよい。
湯それ自体の質が至高ともいえるほどに高く、湯処の質というものが些末に思えてしまうほどなのである。
触れるだけで、身体にさっと馴染む。否、馴染むというよりも、身体と湯とが一体となり、互いにすべり合っているような感覚にさえ陥る。
嬉野温泉は、日本三大”美肌”の湯に数えられるらしい。日本三大”美人”の湯の格落ちのようにも聞こえるが、決してそういうことでは無いことが入ってみればよく分かる。
美肌の湯に漢同士で押しかけたのもいま考えるとどうなのやらと思われるが、そういえば三大美人の湯の一つ、龍神温泉にも同じ面子で足を運んだことがあった。
漢どもの心も肌も癒す、嬉野の湯に乾杯である。